「九度山の富有柿」中谷農家様のご紹介
日本一と称される、九度山の富有柿
高野の山並みが紅く染まる頃、九度山では富有柿の収穫が最盛期を迎えます。
今年も、和歌山の名産として名高い富有柿を丹精込めて育てる中谷農家様へ出向き、柿の状況や味の確認を行い、厳選いたしました。
九度山町は、紀伊半島の中央に位置する果樹栽培の名地。温暖な気候と保水力に富んだ肥沃な土壌に加え、県内最大の河川・紀の川から生まれる上昇気流と、高野山麓から吹き下ろす冷気が交差することで、昼夜の寒暖差が自然に生まれます。この恵まれた環境が、果実に甘みとコクを与え、柿づくりに最適な条件を整えています。
中でも「富有柿」は、甘柿の王様とも称される品種。九度山産の富有柿は、その品質の高さから“日本一”との評価を受け、全国の柿ファンを魅了し続けています。
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柿農家 中谷幸子様|90歳、現役。人を惹きつける“幸子おばあちゃん”の柿
日本一の柿と評される九度山の富有柿の中でも、畑の環境や生産者の技術やコダワリによって味わいにはそれぞれ個性があります。
和歌山県九度山町の地で、代々柿づくりを受け継いできた中谷さん。栽培のコダワリは、摘蕾や摘果を丁寧に行い、柿の木に負担をかけないよう除草剤は一切使わず、こまめな草刈りを続けること。柿の木に花が咲き始めると、一つの枝に条件の良い下向きの花が2、3個になるよう剪定し、後から咲いた二番花を全て落とすことで、初めに咲いた一番花にしっかりと栄養が行き渡り、味わい深い柿の実が成るように工夫されています。また、実りの季節が過ぎても、木々の手入れは続きます。来年の実りを願い、細やかな剪定を行い、一本一本の幹を洗い流して古い汚れや樹皮を落としています。こうして一年を通じて、柿づくりには惜しみない手間と愛情が注がれています。
実際に畑を訪れると、幹や葉の色づきが美しく、木々が健やかに育っているのが一目でわかり、日々の手入れの丁寧さが感じられました。昨年はカメムシの被害、今年は猛暑による影響で、柿の皮の表面に黒いスジが入ったり、奇形果が増えており、形の良い富有柿は貴重とのこと。昨今ではイノシシやカラスなどの被害もあり、畑の管理もより一層慎重に行っているとのことで、毎年美味しく、美しい柿が実るよう工夫を凝らしながら、丹精込めて育てられています。
中谷さんの柿は、果汁たっぷりでみずみずしく、鼻に抜ける濃厚な甘さと、硬すぎず柔らかすぎない絶妙な食感が魅力です。他のどこにも負けないぐらい驚くほどフルーティーで、柿が苦手な方にも好評です。元気でお話し好きな“幸子おばあちゃん”。その人柄と想いが、柿の実にも宿っています。 -